From 福元友則
アリとキリギリスという童話があります。
ざっとした話はこんな感じです。
夏の間、アリたちは冬の食料を蓄えるために働き続け、キリギリスはヴァイオリンを弾き、歌を歌って過ごす。やがて冬が来て、キリギリスは食べ物を探すが見つからず、最後にアリたちに乞い、食べ物を分けてもらおうとするが、アリは「夏には歌っていたんだから、冬には踊ったらどうだい?」と食べ物を分けることを拒否し、キリギリスは飢え死んでしまう。(wikipedia引用)
子供の頃にこの話を聞いた時は、アリは賢くてキリギリスはバカだと感じました。
ですが、キリギリスはバカなんじゃないということに最近気づきまして、、、
というのも人類が進化の過程で身につけたことの1つが不安という感情だそうです。
不安には「はっきりした不安」と「ぼんやりした不安」があります。
はっきりした不安とは、例えば
原始人が狩猟をしている時に、猛獣に襲われる不安です。
採ってきた食べ物に毒が含まれていたらという不安です。
はっきりした不安の特徴はわかりやすさ、シンプルであるということです。
猛獣に襲われた時の対処法に複雑さはありません。
戦うか逃げるかのどちらかです。
食べ物に毒が含まれていたらどうしようという不安に対処するのも、
食べるか食べないかのどちらかです。
原始的なこの種の不安はとても強いですが、シンプルで対処しやすいのが特徴です。
ところがぼんやりとした不安はこうはいきません。
何が不安なのかをわからないケースすらあるぐらい複雑だからです。
選択肢がたくさんありすぎて、決断できないようなこともあります。
そもそもなぜ人類は進化の過程ででてきた不安ですが、一体どういう役割があって今も残っているのでしょうか?
不安の主な役割は「危険を知らせるアラーム機能」です。
喜びや楽しさといったポジティブな感情は人生を豊かにしてくれるための感情ですが、生存にはあまり直結しない感情です。
逆に不安の感情がないと、危険に対処できず死んでしまうことも多かったのでしょう。
不安という感情を持っていたり強かった人が生き残り、不安がなかったり弱かったりした人が死んできたため強化されてきたのです。
実際、様々な組織の研究からポジティブなことばかり考えている組織とネガティブなことを考えている組織ではネガティブなことを考えている組織のほうが長持ちしたり、業績がい傾向にあることがわかっています。
また不安の感情が強い人と弱い人では時間の感覚に違いがあることもわかっています。
不安感が弱い人は時間の感覚が短い傾向にあります。
時間の感覚が短いというのは未来や将来という感覚がなかったり弱かったりするということです。
アリとキリギリスの童話はこの教訓を伝えるために作られた話なのではないかと思うのです。
今税理士業界は長い成熟期から衰退期にさしかかってきています。
その中で今の事務所の問題などの目の前のはっきりした不安にしか対処していなかったりしていませんか?
本来はあるはずのぼんやりした不安を無視したり、気づかずにいたりしませんか?
忙しかったり、大変だったりすると、先のこと将来のことを考えることがなかなか難しくなってしまいます。
確定申告が終わってはじめての休みですが、このタイミングでじっくり将来のことを考えてみてはいかがでしょうか?
また顧問先にもこのような問題が起きています。
ぜひアドバイスしてあげてください。