From 福元友則
最近、大塚家具の上場廃止が決まったというニュースを見ました。
お家騒動から始まって、資金繰り難、ヤマダ電機の買収、代表取締役取の交代(辞任)、そして上場廃止です。
まるで中小企業がダメになっていく縮図のようです。
お家騒動が2014年のことですので、7年間の出来事です。
お家騒動前は、キャッシュリッチで無借金経営をしていて、大塚家具といえばそのブランド認知も相当なものでした。
この衰退ぶりは端的にいって、久美子社長の責任です。
彼女の経営手腕のなさもさることながら、マーケティングにおいてことごとく間違えたことが7年で天下の大塚家具をここまで追い込んだ原因です。
彼女はまずビジネスモデルを間違えました。
彼女が社長に就任する前までは、大塚家具といえば国内最高級というポジションでした。
いわゆるハイブランドです。
彼女は社長に就任して、ニトリやイケアなどに対抗するためなのかカジュアル路線に舵をきりました。
これが大きな間違いだったのです。
マーケティングやビジネスモデルに詳しい人なら誰でもわかることですが、どの業界でもハイプライスのブランドとロープライスのブランドしか生き残れません。
ですから、ハイブランドの地位を捨てるならロープライスのカテゴリーで1番をとらなければ生き残れません。
しかもここはニトリやイケアなどすでに先行して成功しているブランドがあるため、そこよりも安くしていい商品を提供できる仕組みを作ったり、利益をあげたりするのは並大抵ではありません。
急に参入して成功できるほど甘くはありませんし、この戦略で長期に渡り成功している会社はどこの業界でも見渡してみてもないと言われるぐらいです。
より高く売るのは大変ですが、より安く売るのは誰でもできるからです。
(それで経営をうまくやるのはまた別の話です。)
どの業界でも中間のポジショニングをとると大変厳しい経営になっていきます。
そうそうにポジショニングをしなすべきでしたが、それもありませんでした。
また成長戦略も間違えました。
彼女は社長就任後、広告費を大幅に削減したそうです。
いい商品を安く提供することで、口コミで売ることを狙ったのかもしれませんが、広告費の削減はあきらかに失敗でした。
普通の会社で考えればすぐにわかることですが、営業マン(特にトップセールス)を減らして業績がよくなるわけがありません。
不況時に業績アップする会社は広告をしている会社だそうです。
周りが経費削減のため広告費を削るので、広告を出す人が減り、よく目立つようになります。
さらに広告を出す人が減るので、広告費も安くなります。
ですから、不況時に広告を出すと業績アップしやすいのです。
変革のため、ポジショニングを変えようとしたり、利益確保のため経費削減しようとしたりするのは不況時によくあることです。
社長は軽い気持ちで取り組んだことが後々大変なことにならないように先生がアドバイスしてあげてください。