From:高名一成
先日、夜にスマホをいじっていたら、よく使う買い物アプリから通知が1件届きました。
「お持ちのポイント1,350円分は、明日の23時59分で失効します」
普段ならポイントが貯まっていますよ、と言われたところで、見もせずに通知を消しています。
でも「明日で失効します」の一文を見た瞬間、指が止まりました。
「1,350円だったら何か買えそうだな…もったいないな…」
そう思い、そこから10分くらい、別に今すぐ必要でもないものを何か使い道はないかとアプリの中を探し回っていたんです。
送料を無駄にしたくないからと、余計な商品をカゴに入れたりしながら。
たぶんあなたにも、似たような経験があるんじゃないでしょうか?
「得」より「損」に、人は2倍反応する
これには、人の心理にはっきりした理由があります。
損失回避(プロスペクト理論)と呼ばれるもので、人は同じ大きさでも「得」より「損」を重く感じるという性質です。
人は1,350円もらえる喜びより、1,350円を失う痛みのほうが強く感じます。
だから「失効します」の一言で、つい動いてしまうわけです。
そしてこれは、ビジネス、とくに営業とかマーケティングにおいてとても重要です。
提案が「得」の話だと、社長は動かない!?
たとえば、顧問先の社長に新しいサービスを提案するとき。
「これをやると、こういうメリットがありますよ」
「導入すれば、こんな効果が見込めます」
こういう伝え方になっていること、多いんじゃないでしょうか。
もちろん、間違ってはいませんし、提案の中身が良ければ良いほどメリットを伝えたくなりますよね。
ただ、ここまで読んでもらえれば、なんとなく気づくと思います。
「メリットがあります」は、社長から見れば「得する話」です。
そして人は、得する話には、思ったほど動きません。
社長が悪いわけでも、提案の中身が悪いわけでもありません。
これは人間の性質そのものの影響なんです。
同じ提案でも「失うもの」を示すと、
反応が変わる
やることはシンプルで、同じ提案を「得」ではなく「このままだと失うもの・取りこぼすもの」の角度からも伝えてみる、ということです。
たとえば売上アップの支援を提案するなら、「売上が増えますよ」だけでなく「今のままだと、本来取れたはずの利益を、毎月取りこぼし続けているかもしれません。損してますよ。」と伝え方を変えるだけで相手の受け止め方が変わるなんてことはよくあります。
他にも採用の提案なら「採用が後手に回ると、今いる社員に負担が偏って、いずれ辞めてしまうリスクがあります」と、避けたい損失のほうのメッセージに変えるなんてのもあるでしょう。
こうすることで同じ中身の提案でも、社長の受け取り方が変わる可能性があります。
なぜなら、人は「得られるもの」より「失うもの」のほうを、放っておけないからです。
ただ、ここで1つだけ気をつけてもらいたいことがあります。
これは、煽って不安にさせるためのテクニックではない、ということです。
ありもしないリスクを大げさに言って動かすのは、その場は動いても最後は信頼を失います。
あくまで、社長が本当に直面している事実を社長が一番気にかけている角度から正直に伝えるのが大切です。
提案の前に、
社長が「失いたくないもの」を考える
あなたが今、顧問先にしている提案があればそれを、今後したいと考えていることがあればそれを思い浮かべてみてください。
その提案は「得しますよ」の話になっていないでしょうか。
もしそうなら、伝える中身は一切変えなくて大丈夫です。
ただ、この社長が「失いたくないもの・取りこぼしたくないもの」は何だろう、と一度考えてもらいたいんです。
そこから提案を組み立て直すだけで、同じ提案でも社長の動き方は変わってくるかもしれません。
いい提案ほど、伝え方で損をしてほしくないですから。
念の為お伝えしておきますが、もちろん人によって変わりますからね。
得の方がいい人もいるので、この社長はどっちかな?と考えながら試してみましょう。
-高名一成
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