From:福元友則
とある懇親会でこんな相談をされました。
「近隣にうちの事務所より安い税理士事務所ができまして、それからというのも新規がさっぱりなくなりました。
しかも、顧問先からもそこの価格を引き合いにだされて暗に値下げ要求されています。
一件引き受けるとすぐに広がってしまって、かなりの売上の減少になりそうなので、今の所すべて断っています。
でもその影響か少しづつ解除になるところもでてきているのですが、たぶんそちらに流れていってるんだと思います。
また社員の待遇もいいみたいで、うちはまだないんですが、よそでは社員が顧問先を連れて移籍しているようです。
これからうちの事務所はどうしていけばいいんでしょうか?」
みたいな内容でした。
これは、たまたまとある事務所に起きてしまった不幸な出来事なのですが、これはどこにでも、また誰にでも起きうることかと思います。
そしてたまたま起きてしまった不幸な出来事と言いましたが、これはある意味起きるべくして起きてしまった出来事だとも思います。
というのも、この出来事が起きてしまった原因は、要するによその事務所と差別化ができていないことなのです。
顧客にとって商品やサービスを購入する時、こちらから情報を提供しなければ選ぶ一番のポイントは価格になります。
つまりいかに安くお得に商品、サービスを買えるかということが一番重要になります。
安いのもいいけど、安いには安い理由があって、とか
うちは高いけど、こんなサービスがついてるんですよ、とか
後からこのサービスもあればなって後悔される人多いんですよ、とか
こういったことを説明できないと人より高く買いたいなんて、奇特な人しか顧客にすることができなくなります。
つまり差別化のポイントがもし価格でないなら、高い金額を納得してもらえる理由を提示できなければいけないのです。
この差別化のポイントをどうやって作るのかというのは2通りの方法があります。
応急処置としては、営業の場面で対応できればいいという考え方でUSP(unique selling proposition:セールスのウリのこと)をつくることです。
根本的に対処する場合は、事業のポジショニング戦略を考え直すことが必要になってきます。
ポジショニングとは、一言で言うと、誰と比べてもらうのか決めるということです。
例えば、石川県に金沢という都市があります。
金沢を説明しようとすると、兼六園があるとか海鮮がおいしいとか色々と説明しなければいけないのですが、、、
金沢はどんなところかというを一言で言い表している言葉があります。
つまりこれが金沢のポジショニングです。
それは、、、
「小京都」
です。
ここでいう誰と比べられるかは、京都です。
京都は、東京と並んで一番イメージできる都市です。
そのイメージを拝借できるので、小京都というフレーズを使えば、あそこに行けば、京都に行った気分が味わえるのねとなるわけです。
ポジショニングをはっきり決めることができると、先の相談者が脅威に思っている激安の競合は競合でなくなり、一番紹介をくれるところになったりもします。
(地域で一番安い店というのも、ポジショニングの一つです。)
(ポジショニングの例を他にもあげると、地域で一番高い歯医者というのがあります。どんな歯医者なのか?他と何が違うのか興味わきません?)
今のところ、そこまでのこともないんだけどと思う人もいると思います。
もちろんすぐにそうなるわけではないと思うのですが、価格で目をひくライバルがしかも近隣にできた途端にこの問題が露見します。
ポジショニングの問題は、問題が起きてから対処するのでは遅すぎるところにもあります。ポジショニングを作って、それを認知させるのに時間がかかるからです。
ですから、少しでも時間をとってポジショニングについて考えてみてはいかがでしょうか?
ー福元友則