From:福元友則
経営で重要なことの一つにトレンド予測があります。
今後の経営の方針とか方向性を決める上で世の中がどこに向かって動いていくかを把握できているかどうかが、経営を大きく左右するからです。
経営コンサルの世界では、トレンド予測をしたいなら、映画を見て、ポップ音楽を聞き、小売業の動きから目を離すなと言われています。
なぜなら、小売業ほどトレンドに敏感な市場はないからです。
小売業の動きはやがて全国に波及しますし、他に業界にも波及するからです。
では、近年小売業で進んでいるトレンドは何かというと、「専門家」と「IT化」です。
小売業では、既に総合店や総合ブランドは過去のものとなりつつあります。
総合化の終焉です。
総合化の代表格が百貨店です。
百貨店が廃れていているのは周知の事実だと思いますが、なぜ衰退していってしまったのでしょうか?
多くのケースでは、百貨店を批評しているものをよく見かけるのですが僕は少し考え方が違いまして、問題が百貨店側にあると思っていません。
では、問題がどこにあるのかというとその競合にあります。
百貨店の売上が下がっているからといって、そのお客さんだった人が買い物をやめているわけではなく、違うところで買っているだけなのです。
では、お客さんがどこで買うようになっているかというと、専門店なのです。
専門店というのは、自社の専門性にフォーカスを絞っているお店のことです。
ビジネスの競争では、常に相手よりフォーカスを絞った方が勝ちます!
百貨店に変わって、主役に躍り出たのが専門店なのです。
もちろん全ての百貨店がうまくいかないわけではありません。
斜陽産業でも、最後に生き残った数社は、素晴らしい利益を上げることができるからです。
なぜなら新たに参入してくる競合がいなければ、寡占状態になり、残った市場を数社で独占することができるからです。
税理士業界においても、ほとんどの事務所は総合的な事務所としてやっています。
「ワンストップ型」というのは総合的な事務所である現れです。
もしこういう事務所が今後の経営の方針とか方向性を見出す場合、できることは「専門化」か「最後に数社に入る」かのどちらかだと思います。
この2択の場合、より難しくて競争が激しいのは後者の「最後の数社に入ること」であることは言うまでもありません。
この場合、何で競争することになるかというと資金力が鍵になるからです。
今大手の事務所がこの路線をとった場合、彼らが大きな失敗をしない限りほぼチャンスがない選択肢になってしまうのです。
では、何にフォーカスしたらいいか、何に専門化していくのがいいのかというと、
「得意客のフォーカスする」ことをオススメします。
「得意客にフォーカスする」ことができている会社は、上位20%のお客さんの占める売上の割合が極めて高いという特徴があります。
およそ80%を占めています。
総合的な税理士事務所の場合、上位20%の顧問先の売上はおよそ30%ほどではないかと思います。
あと50%分を顧問先に提供できる商品/サービスを用意できるかどうかが、専門化できる事務所になれるかどうかを分けていきます。
この点に気づいていない事務所は、まだ新規顧問先の拡大しかやっていません。
ごく1部の事務所だけがこの専門家の動きを見せています。
まだ準備を始めなくても大丈夫でしょうか?
ー福元友則