From:高名一成
「新規の顧問契約は断っています」
先日、打ち合わせをした先生がこんなことを言っていました。
新規の顧問契約とはもちろん税務顧問のこと。
いきなりこんなことを言っていたわけではありませんが、顧問先が増えることに対してはあまりいいイメージを持っていませんでした。
その先生は、
「今、事務所の忙しさが慢性化している」
「これ以上、職員の担当を増やすと辞めらてしまうかもしれない」
「だからと言って、新しく採用はできない(1人採用するほど新規が増えていない)」
「採用がすぐに決まるとは限らない」
という様なことを言っていました。
税理士事業に限った話しではありませんが、お客さんの「数」が増えるとそれに比例して労働量が増えます。
1人が労働できる時間や数は決まっているので、キャパを超えると新しい人を採用しなければいけません。
でも、今ほとんどの業界は採用に問題を抱えていて、今までの様にカンタンに採用することができません。
広告を出してもあまり反応がありません。
その中でせっかく来た人を面接して合格を出しても、向こうから断られてしまうこともあります。
こんな背景があるから打ち合わせをした先生は「新規は断る」と言っていたのです。
その先生は新規は増やさずに今の顧問先の顧問料アップに注力してくようです。
そのため税務ではなく付加価値業務に取り組んでいます。
税理士事業には税務以外の商品で売上を作ることがマーケティング上、とても重要です。
税理士事業の最大の問題は単品商品で経営をしていることです。
ほぼ税務顧問のみで事業を作っていることが問題なのです。
1つの商品しかなければ、売上は鈍化します。
それが単価の高い商品であれば顧客数が増えずらくなりますし、単価が安ければ利益がとれません。
それに、その商品が何かしらの影響により従来のように売れなくなったり価格の下落がおきれば経営への影響は計り知れません。
ですから、1つではなく、いくつもの商品を取り扱い売上を作っていくことがとても大切なのです。
その時に考えなければいけないのはどんな商品を取り扱うかということです。
1番いいのはお客さんに求められているものを自分たちの商品にすることです。
お客さんが日常的に困っていることから、ある特定の条件下でニーズが発生するものなど、こういったことをリサーチしてみるといいと思います。
ただ、その時に注意するべきことはいくつかありますが、まずは参入障壁を考えてみてください。
参入障壁が低ければ競合が増えます。すると今はニーズがあって売れていっても、長い目で見ると売りづらくなったり価格競争になります。
例えば相続事業は今後伸びていく事業だと言われています。僕ももちろんそう思いますが、いずれはコモディティ化し価格競争になるでしょう。
相続の価格競争はすでに始まっているとも言われています。
そうならないような商品を見つけて自社に取り入れることも考えておくべきです。
例えば、僕たちがオススメしている経営支援系のコンサルはおそらくそうカンタンにコモディティ化することはないと思います。つまり価格競争にはなりずらい息の長い商品になります。
だからといって、これがいいと言っているわけではありません。
競合が多くなるであろう分野は社会的意義は大きいでしょうし、それだけ顧客数を獲得できるというメリットもあるので、自分の事業のステージに合わせてバランスよく取り扱うことが大切です。
2022年の経営戦略を考える上での参考にしてください。
ー高名一成