経営戦略

カインズから学ぶ、飽和した時代に伸びる税理士事務所のつくり方

From:高名一成

 

先日、車で出かけてる途中で、ふと「そういえば、家の棚を直す金具を買わないとな」と思い出しました。

 

そこで、ちょうど道沿いにホームセンターがあったので立ち寄って買うことにしました。

 

普段ホームセンターにはほとんど行かないんですが、久しぶりに足を運んだら、店内の雰囲気がガラッと変わっていてびっくりしました。

 

僕の中のホームセンターって、工具とかネジが並んでて「DIYやる人が行く店」のイメージだったんです。

 

ところが、今は店内にモノトーン基調のおしゃれな収納グッズや、家でそのまま使いたくなる雑貨が目立っていて、ぶらぶら歩いているだけで楽しい。

 

金具1個買いに行っただけなのに、気がついたらカゴの中が雑貨でいっぱいになっていました(笑)。

 

このお店、カインズだったんですが、なんでこんなに雰囲気が変わったんだろうと気になって、後から少し調べてみたんです。

 

そしたら、業績の伸び方もずいぶん変わっていました。

 

ホームセンターの市場は長らく横ばい。

 

むしろ少しずつ減っているくらいの状況です。

 

出店も限界に近づいていて、業界全体としては「もう伸びる余地がない」とずいぶん前から言われています。

 

ところが、その中でカインズは伸び続けていました。

 

業界全体は飽和しているのに、なぜカインズだけ伸び続けているのか。

 

店内の雰囲気の変化を見たあとだったので、その理由がだんだん見えてきたんです。

 

「モノを売る店」から「暮らしを提案する店」へ

 

きっかけは2019年。

 

プロ経営者として外から来た高家正行さんが社長に就任し「第三創業」を宣言したそうです。

 

そこから、カインズは売り方そのものを少しずつ変えていきました。

 

PB商品を1万3,000点まで広げて、デザインも刷新。

 

いかにも工具店っぽい無骨なものから、モノトーン基調で「家に置きたくなる」見た目に。

 

売り場のテーマも変えました。

 

「楽カジ」(家事をラクにする商品コーナー)、「&PET」(ペットと暮らす商品コーナー)など、商品カテゴリーではなく暮らしのシーンで売り場を組み直したんです。

 

地味な変化に見えますが、これでお客さんの来店動機が変わります。

 

「ネジを買いに行く店」から「これ、カインズにあるんじゃない?と家の悩みを解決しに行く店」へ。

 

さらに「オシャレな雑貨が欲しい時にぶらっと立ち寄る店」へ。

 

僕も実際そうやって、ぶらぶら歩いているだけで楽しくなって、ついいろいろ買って帰ってしまったわけです(笑)

 

つまり、売っているもの自体は他のホームセンターと似ているのに、「お客さんにとっての意味」が違う店になったわけです。

 

同じに見えるから、価格で比べられてしまう

 

これは、税理士事務所経営にも当てはまる話です。

 

「新規の問い合わせが来ても、提示される顧問料が以前よりずっと低い」「長年付き合ってきた顧問先からあいみつを取られた」など、こういった話は年々増えています。

 

こういうのって結局、顧問先の社長から見て「どの事務所も同じに見える」という構造から起きていることです。

 

ところが、これだけ業界が同質化していると言われる中でも、顧問先も売上もずっと伸ばし続けている事務所は確かにあります。

 

そういう事務所の話を聞いていて、ほぼ例外なく共通しているのは「税務をやる店」から「顧問先の経営を一緒に考えてくれる存在」へ意味を変えていることです。

 

カインズが「ネジを買う店」から「暮らしを提案する店」へ変わったのと、構造はまったく同じです。

 

あなたの事務所は、社長から何の店に見えているか

 

ここで一度、考えてもらいたいんです。

 

今、あなたの事務所は、顧問先の社長から見て、どんな「店」に見えているでしょうか。

 

「申告と試算表を出してくれる店」だけになっていないでしょうか。

 

もしそうなら、それは品質や努力の問題ではなく、社長から見たときの意味づけが他の事務所と同じになっているだけかもしれません。

 

同じに見えるから値段で比べられて、安いところに乗り換えられたり、新規の問い合わせでも相場の低い金額を提示されたり…

 

業界が同質化していると言われる時代に伸びている事務所は、申告や試算表の品質をさらに上げる方向ではなく、社長から見た自分の事務所の意味そのものを変えていっています。

 

カインズが見せてくれた逆張りは「同じ業界の中で、お客さんにとっての意味を変える」というシンプルなものでした。

 

業界の空気に飲み込まれず、自分の事務所だけ伸び続けていくために、まず自分の事務所が顧問先からどんな店に見えているのかを一度書き出してみてください。

 

-高名一成

 

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