From:高名一成
最近中途採用で業界未経験者を採用する事務所が増えてきています。
10年くらい前だとこの手の話しを聞くことは少なく限られた事務所からだけでした。
税理士業務はかなり専門性が求められます。全くの畑ちがいだとこの専門性をイチからインプットする必要があります。
でも、一朝一夕でできるようにならないので、一人前になるまでの数年は教育やフォローに投資をしなければいけません。
通常、税理士事務所の採用は顧問先が増え、業務がパンクしそうになってから採用をします。対処療法的な採用スタイルなので経験がある即戦力でなければ務まりません。
だから業界未経験者を採用して大丈夫なのかな?逆に所内が混乱するんじゃないのかな?と当時は思っていました。
でも、5年くらい前から未経験者を採用しているという話しをチラホラ聞くようになりました。
未経験者を採用する2つの理由
こういった事務所が増えてきたのには2つの理由があります。
①採用難だから
1つは採用が難しくなってきたからです。
今はどの業界でも採用が難しいと言われています。広告を出しても募集が無かったり、面接で合格を出しても内定辞退をされたり。
昔とは違い、今は企業より就活をしている人の方が強い時代です。働き方にも多様性があります。
それに税理士業界は斜陽産業だと言われています。そこで働こうとする人そのものが少なくなってきているのも事実です。
だから経験者にこだわらず未経験者まで層を広げていかないと採用ができないのです。
②戦略的採用
2つ目の理由は戦略的採用です。
先進的な先生は今後の経営を考えて税務顧問に変わる収益の柱を作ろうとしています。例えば、コンサル、相続、M&Aなど。
こういった業務を収益の柱にするためには片手間ではいけないと考えています。
だから、今の職員に税務顧問と兼任してやってもらうのではなく、専任者を雇って本腰を入れて事業を作ろうとしています。
成長する事務所の選択肢
未経験者を採用する背景にはこの2つの理由があるのですが、この採用が事務所の成長に繋がるのは2つ目の戦略的採用です。
今後の経営を見据えた採用はすぐに成果は出ないかもしれません。当然ある程度の時間はかかります。
でも、逆に言うと今時間をかけておかないと数年先に結果が出ることはありません。
未経験者を積極的に採用をしろ!とは言いませんが、今後採用をしていく上で未経験者採用は避けて通れない道になってくるはずです。
従来通り、税務顧問1本で勝負していく経営スタイルだと未経験者を一人前にしていく教育コストは膨大なものとなり利益が極端に減る可能性があります。
今後の採用は事務所の経営戦略にも大きく関わってくる内容です。
ぜひ、あなたの事務所経営の方向性とともに考えてみてください。
ー高名一成