From:高名一成
先日、このブログを読んでくれている先生から感想メッセージをいただきました。
そこに書かれていたのは、
「なぜ上がらない顧問料」
このひとこと。
短い文章ですが、ここに切実さを感じたんです。
僕たちは顧問料の話を繰り返しブログに書いてきました。値上げの話、単価アップの話、商品開発の話、ライバルとの違いの話。
それでもこのひとことが届くということは、それだけ深く悩んでいる先生がいるということです。
顧問料は事務所経営の根本にある
なぜ僕たちが顧問料の話をこんなに繰り返すのか。
それは、税理士事務所が抱える問題のほとんどが、1件あたりの顧問料の単価につながっているからです。
職員の給料を上げたくても上げられない、所長の所得が思うように増えない、売上は増えても儲からない、顧問先が以前ほど増えない、紹介もパタッと来なくなった、などなど。
別々に見えるこれらの悩みも、たいていはここに行き着きます。
なぜなら、税理士事務所の売上は「1件あたりの顧問料 × 件数」というシンプルな構造でできているからです。
件数を増やすには人手が要りますが、その人を採用するのも今は簡単な話ではありません。
紹介や問い合わせも、業界全体が縮んでいる中で以前のようには増えてくれない。
そうなると、残されているのは1件あたりの単価を上げる方向しかないんです。
ここに切実さを感じている先生が多いのは、ある意味で当然のことです。
ではなぜ、顧問料は上がらないのか
では、なぜ上がらないのでしょうか。
理由はシンプルで、顧問先から「どこに頼んでも同じ」と思われているからです。
試算表を出してくれる。決算を組んでくれる。申告書を作ってくれる。
これは社長から見ると、税理士のサービスはどこも似たような形に映っています。
そうなると、社長は何で選ぶか。価格です。
同じ商品が並んでいれば、人は安い方を選びます。
これは税理士サービスに限った話ではなく、人の購買行動として自然なことです。
だから値下げ圧力が来るし、あいみつで負けるし、新規の相場も下がっていきます。
つまり、顧問料が上がらないのは「他と違う」と思ってもらえていないから、ということになります。
「より良くする」では差別化にならない
ここまで読むと、「じゃあ差別化が必要なんだな」と感じる先生が多いと思います。そう感じますよね。
そして、多くの先生が顧問料アップを考えた時に最初に取り組むのが、品質を上げることです。
試算表を早く出したり、質問にすぐ答えたり、決算書を丁寧に作ったり、説明をわかりやすくしたり。
つまり、サービスをよくしていくということです。
でも、この方向では残念ながら顧問料は上がりません。
なぜなら、品質の違いは顧問先には伝わらないからです。
社長は税務の専門家ではないので、「丁寧に作り込まれた決算書」と「とりあえず形になっている決算書」の違いを判断することはできません。
ふつうに考えれば、自分の専門外のサービスの良し悪しを見抜くのは難しいですよね。
もちろん、自分では見抜けなくても、複数の税理士を並べて比べることができれば、相対的な違いはなんとなく感じ取れるかもしれません。
「Aの先生の方が説明がわかりやすい」「Bの先生の方がレスが早い」というふうに、比較なら違いを体感できる可能性はあります。
ところが、そもそも顧問先の社長が複数の税理士を並べて同時に比較するなんて、あり得ません。
複数の事務所と契約してサービスを見比べている社長は、世の中に1人もいません。
だから「あの先生は他より丁寧だな」とすら気づきようがありません。
比較する場面もありませんし、違いを判断する基準もない。
この状況で品質をいくら上げても、「他と違う」とは思ってもらえないんです。
「違い」は品質ではなく、
顧問先が欲しいもので作る
差別化は「他と違うこと × 顧問先が欲しいもの」の掛け算で初めて機能します。
つまり、「よりよく」の方向ではなく、「顧問先が今いちばん欲しいもの」を提供する方向で違いを作る必要があるんです。
では、顧問先の社長が今いちばん欲しいものは何か。
資金繰り、人、組織、いろいろあると思いますが、結局は売上です。
売上が伸びていれば、たいていの悩みは薄まっていきますから。
僕たちが売上の話をいつもおすすめしているのは、ここに理由があります。
(もちろん、売上に並ぶくらい社長の関心が高いテーマがあれば、それでも構いません)
ところが、税理士業界で売上の話にきちんと踏み込んでいる事務所はほぼありません。
だからこそ、ここに踏み込む先生は顧問先から「他とは違う」と認識されます。違うと認識されれば、当然、価格で比較されにくくなっていくわけです。
あなたの事務所は
「他と違う」と伝えられているか
少し立ち止まって考えてもらいたいことがあります。
あなたの事務所は、顧問先から「他とは違う」と思われているでしょうか。
もし「ウチも、どこも同じだと思われているかもしれない」と感じたなら、顧問料そのものの話の前に、まずそこから見直してみてはどうでしょうか。
顧問料は結果です。原因は、違いがあるかどうか。ここを変えない限り、値上げ交渉も、料金改定も、空回りで終わってしまいます。
順番を間違えずに、まずは「同じだと思われている状態」を抜け出すところから考えていきましょう。
-高名一成
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