from 福元友則
会計事務所のような安定した保守的な世界も変化と無縁ではありえません。
この業界では長年に渡り「ビッグ・エイト」がひっそり業務をこなし、料金を請求していました。
ビッグ・エイトはいずれも本気で競争するのを禁じられているといわれたものでした。
やがていつしかアメリカが経済の中心ではなくなりました。
ヨーロッパやアジアがグローバルエコノミーの強力なスタッフに成長したのです。
ビッグ・エイトのクライアントは突如としてどこも激しい競争に直面し、いきおい彼らはビッグ・エイトにも競争原理と低料金を要求しはじめました。
この結果、これまで変化への対応が得意でなかったクライアント・サービス産業がいよいよ変化を迫られることになったのです。
「電話のそばにただ座って、仕事が舞い込むのを待っているわけにはいかないことは分かっていました。我社を次の世紀へと生き延びさせるためには、新しいポジションもさることながら、何かの新しいサービスを開発する必要があったのです。」
会計事務所の問題が何かをつきとめるのはそんなに難しいことではありません。
どの会計事務所の問題点も同じ、他の事務所といっしょくたにされていることだからです。
さらにいっしょくたにされている会計事務所の中でトップでなければ最悪の状態です。
これは以前のアメリカの会計事務所業界についての記述の1部です。
これらの状況は今の日本の税理士業界に通ずるところがあります。
長い安定の期間を得て、とうとう競争をしなければいけなくなっています。
しかし長い安定期のせいで、事務所に競争するという文化も競争に勝つという文化もありません。
長く右に倣えでやってきたのですから無理もありません。
しかし日本経済や顧問先の状況を考えるとビッグ・エイトのようにクライアントから競争原理や低料金を要求されるのは仕方のないこと。
今が一番要求が優しいのではと考えるぐらいで丁度いいでしょう。
これから激化していく一方だからです。
競争をするということは他と違わなければいけません。
同じであれば選ばえる理由がなくなってしまうからです。
そこでビッグ・エイトが行ったようにポジショニングの再構築を行う必要があります。
新しいポジショニングを行い、発信しなければいけません。
さらにそのポジショニングを肉付けするためにも新しい商品やサービスが必要になってきます。
今の税理士事務所に必要なのは、新しいポジショニングとそれを証明するための新しい商品・サービスなのです。
これはアメリカの会計事務所業界も通った道。
そしてどの国でもどの業界でも必ず通る道です。
ぜひ先生も時間をとって幹部の人とポジショニングや商品開発に取り組んでいきましょう。