from 福元友則
最近、人事評価に関する相談を受けました。
どうもベテランが自分をきちんと評価してもらえていないと不満を感じているのだとか。
自分は在籍年数が長くそれだけ貢献しているはずなのにその割に他のスタッフと評価があまり変わらないような気がするというのです。
こういったことは中小企業では割とよくあることかなと思います。
もし先生の事務所でこんなことがあったらどう対応しますか?
特に士業のような専門サービスを提供している会社の場合、人事評価のやり方を間違えやすい傾向にあります。
というのも、その人の専門知識をそのまま評価してしまうことが多いのです。
通常、在籍年数が長ければ長いほうが専門知識は深くなりやすいです。
そのため年功序列になりがちなのですが、専門知識を評価した給与体系にすると経営上様々な問題を抱えることになります。
その中でも特によく聞かれるのが、仕事や経営が俗人的になってしまうということ。
こうなってしまうと事務所がどれだけ大きくなったとしても、組織力はあがらず専門家の寄せ集めのようになってしまいます。
また既得権益のようなものが生まれてしまい、事務所の方針を変更しようとする際には抵抗勢力になってしまいかねません。
(そういう相談をよく受けます。)
こうならないためにも先生はスタッフを評価する際、仕事には4つの仕事があると理解しておく必要があります。
1つ目は、業務スキルです。
これは実務を行うスキルのことで、決算や監査をするといった業務を行うスキルのことです。
通常、入所してから3~5年ほどで実務スキルを身につけるようにします。
実務スキルを身につけた人は、在籍年数が3年でも30年でも事務所への貢献はさほど変わりません。
ですから実務スキルを身につけているだけで年功序列で給与をあげていくと、業績貢献のスキルアップしていないのに給与をあげていくといった間違ったメッセージを送ってしまうがちになります。
実務スキルが身に付くと次のスキル習得に移ります。
2つ目は、チームマネジメントのスキルです。
業務スキルをマスターしたら、次はチームを動かしてチーム全体で成果をあげれるようになってもらう必要があります。
通常、個人でやるよりもチームでやるほうが大きな成果をあげることができます。
そのため個人ではなく複数人のチームで仕事をするスキルを身につけてもらうのです。
チームメンバーに仕事を教えたり、育成したりします。
チームメンバーの仕事を管理します。
そして時にはチームメンバーのメンタル面のケアのため相談にのったりします。
こうしたスキルをおよそ5年ほどかけて習得していきます。
3つ目は、チャレンジするスキルです。
これは今までと違う新しいことにチャレンジするスキルになります。
どの業界、どの業種もいつまでも同じことをやって食べていけません。
ですから、常に新しいことにチャレンジし、将来の収益のタネをまいておかなければいけません。
ピンチになったときに急に都合よくチャンスがやってくるわけではないですからね。
なので日頃からタネまきをしておかなければいけません。
それにピンチの時に急に新しいことに取り組んでもうまくいきません。
ですので、日頃からそういう時にためにチャンレンジするスキルを高めておく必要があります。
4つ目は仕組み化のスキルです。
1~3で身につけたスキルをより大きな組織で実践することができるようになるためのスキルです。
通常、経営陣の仕事は3や4になります。
ですので、幹部候補などにはなるべく順番にスキルアップさせながら早くから3、4のスキル習得にチャレンジさせるようにしましょう。
このように仕事には4つの種類があり、上にいけばいくほど業績への貢献度が高い価値が高いスキルになります。
どのスキルがどれぐらいあるのかによって評価できるようにすることで、成長を促せますし、不満も少なくなります。
ぜひ参考にしてみてください。