From:高名一成
先日、仕事の休憩がてら本を読もうと近所のカフェに行った時の話。
僕は、いつもノイキャンのイヤホンで周囲の音をシャットダウンしながら本を読んでいるんですが、この日はカフェに着いてからイヤホンを忘れたことに気づきました。
「しまった!」と思ったんですが、後戻りはできないのでこの日はイヤホン無しで読書。
最初のウチは普通に読書していたんですが、途中2人組が隣の席に来てから全く集中できなくなってしまいました。
どうやら美容ディーラーの若手営業マンが営業しているようで、仕事がらついその話に聞き入ってしまったからです。(というか営業マンの声が大きくてイヤでも聞こえてきた)
若手営業マンはアイスブレイクもそこそこに資料を取り出しセールストークを繰り広げました。
よどみのないセールストークだったので、きっとこの日に向けてロープレやシミュレーションを繰り返し、しっかり準備してきたんでしょう。
それがイメージできたので僕は横で「がんばれ!」と陰ながら応援していました。
しかし、時間が経つごとに状況は劣勢に…
僕は途中で席を立ってしまったので結末は分からなかったんですが、うまくいきそうな流れではありませんでした。
お客さんは途中からうつむいたり、スマホを見始めたり注意散漫になっていて、あきらかに関心を示していなかったからです。
お客さんのその態度についてはどうかと思いますが、原因は若手営業マンのセールストークにありました。
若手営業マンのセールストークによどみは無かったんですが、彼はあきらかに喋りすぎでした。
ずっと、自分の商品の話、他の人の事例を使って売り込みをしていて、その間お客さんはほとんど喋っていません。
最初はふむふむみたいな感じで聞いていましたが、時間が経てば経つほどお客さんは注意散漫になっていきました…
若手営業マンの営業がうまくいかなかったのは彼が喋りすぎていたからです。(うまくいかなかったかどうかは分かりませんが)
一般的に営業がうまい人は喋りがうまい人だと思われていますが、それは違います。
営業がうまい人とは相手の話を聞くのが上手な人のことです。
彼らは営業ではほとんど喋らず、相手に話をしてもらうようにしています。
なぜなら、自分が喋りすぎると成約できないことを知っているからです。
喋りすぎる営業マンはたいていの場合、商品の説明をしていますが、お客さんにとって商品の説明ほど退屈なものはありません。
お客さんにとって商品は自分の理想を叶える手段でしかなく、知りたいのは理想が叶うかどうかです。
自分の理想が叶うかどうか知りたいのに、手段についてずっと説明されたらそれは退屈にもなります。
しかも商品の説明ばかりされると、どうしても売り込みだと思えてしまうので嫌悪感を抱くことも少なくありません。
営業ではお客さんの理想を叶える手段として商品を提案する必要があります。
それには、お客さんの理想を理解する必要があるので、営業が上手い人はお客さんに喋ってもらうことで理解を深めています。
営業では喋ることはさして重要なことではありません。
重要なのはお客さんのことを理解すること。
そして、お客さんの問題を解決したり理想を叶えるための手段として提案をすること。
商品の売り込みは嫌われますが、理想を叶えるための提案は歓迎されます。
ぜひこんなことに注意して今後の営業活動を進めてください。
ー高名一成