From:高名一成
先日、ある先生と話していたら、ちょっと困った顔でこんな話をしてくれました。
「この前、顧問先の社長から『賃上げってどれくらいやってるもんなんですか?』って聞かれまして、、、『うちだって、できることならしてやりたいんだけどね』って、ぼやいてましたよ」
賃上げのニュースをよく見ますから、社長も人ごとじゃないんでしょうね。
僕が「で、何て答えたんですか?」と聞いたら、「いや、それがうまく答えられなくて」と、あはは、と笑ってました。
賃上げの相談、あなただったら何て答えますか?
ズバッと答えづらいテーマかもしれません。
でも社長としては切実ですよね。
頑張ってくれている社員に、できるなら多く還元してあげたい。
その気持ちも、もちろんあると思います。
ただ、社長の本音は賃上げしないと、せっかく育てた社員に辞められてしまう。
採用で給料に見劣りすれば、人も集まらない。
人が足りなければ、会社は回りません。
だから賃上げは「してあげたい」というより「しないとまずい」という、もっと切実な話だったりします。
それなのに、お金の見通しが立たないから踏み切れません。
本当は上げたいのに上げられない、というジレンマを抱えている社長は、少なくないのではないでしょうか。
経費削減と売上アップ
そこで考えなきゃいけないのは賃上げの原資は、いったいどこから出てくるのか、ですよね。
社員の給料を上げるには、当然ながらその分のお金が要ります。
そのお金の正体は、つまるところ利益です。
利益が出ているから給料を上げられる。
利益が増えなければ、賃上げは出来ません。
ちなみに、今年の春の調査でも賃上げを予定する企業は多いと報じられていました。
世の中の流れとしても、賃上げは無視しづらいテーマになっているわけです。
利益を増やすには経費を削るか、売上を上げるかです。
経費削減は、たしかに即効性があります。
使っているお金を減らせば、その分そのまま利益に乗りますが削れる額には限界があります。
家賃や人件費をどこまでも削るわけにはいかないですし、削りすぎれば今度は会社が回らなくなります。
ですから、ある程度のところで頭打ちになります。
そうなると、やはり売上を上げるしかありません。
利益が増える売上の増やし方
VS
利益が減る売上の増やし方
ここで気をつけてもらいたいことがあります。
売上には利益が増える売上の増やし方、利益が減る売上の増やし方があります。
同じ「売上を上げる」でも、この2つはまったく別物です。
例えば、値引きをして数をたくさん売る。
安い仕事をどんどん引き受けて件数を増やす。
これでも売上の数字自体は伸びます。
でも、値引きした分だけ1件あたりの利益は薄くなりますし、件数が増えれば手間もコストも増えます。
気づいたら、売上は増えたのに利益はほとんど残らなかった、ということが起きるわけです。
逆に、単価を上げる。
粗利額の高い商品やサービスを売っていけば、売上が増えると同時に利益もちゃんと増えていきます。
(決して商品の値上げをしろって言ってるわけじゃないですからね)
賃上げの原資を増やすつもりが、
逆に原資が無くなる
ここが社長にとって落とし穴になりやすいところです。
賃上げの原資を作るために売上を増やそうとしたのに、選んだのが利益が減るほうの売上だったらどうなるか。
売上は増えたのに利益は減って、結局、原資はむしろ細ってしまう。
これでは本末転倒ですよね。
もちろん、世の中の値上げの風潮に乗って素直に単価を上げられる社長もいます。
でも実際には、お客さんが離れるのが怖くて値上げに踏み切れない社長のほうが多いのではないでしょうか。
だからつい、数を売る方向、安く受ける方向に流れてしまう。
やらなきゃいけないのは、利益が増えるほうの売上の増やし方です。
賃上げの原資は利益なのですから、利益が増える売上の増やし方でなければ意味がない、ということになります。
税理士は社長と一緒に見られる立場にいます
ここであなたの出番です。
あなたは毎月、顧問先の数字を見ていますよね。
売上の推移も、利益率も、経費の数字も、目の前にあります。
つまり、この売上は本当に利益が増えているのか、それとも数字だけ膨らんで利益は減っているのか、それを社長と一緒に見られる立場にいるわけです。
これは、毎月数字を見ている顧問税理士だからこそできることで、ほかのコンサルには真似できない立ち位置だと思います。
社長は売上の数字が伸びていると、それだけで安心してしまいがちです。
そこで利益も一緒に確認できる人がそばにいたら、社長はどれだけ心強いでしょうか。
もし、利益を増やしたい社長が、売上は増えてるのに利益が増えてない、あるいは減っていたら、それは売上の増やし方が間違っているのかもしれません。
ぜひ、顧問先の社長がやっているのは利益が増える売上の増やし方なのか、利益が減る売上の増やし方なのか、という視点を持ってみてはいかがでしょうか。
賃上げしたいという社長の気持ちを、売上の増やし方をアドバイスするという形で後押しできたら、あなたはもっと頼られる存在になるはずです。
そして、それがきっと社長の賃上げしたいという理想につながるでしょう。
-高名一成
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