From:高名一成
印刷会社を名乗るのをやめた印刷会社があります。
その印刷会社はMICという会社です。
もともとは1946年に活版印刷から始まった「水上印刷」という会社でした。
いまの売上は150億円を超え、売上も利益も過去最高だそうです。
2024年には上場もしています。
縮み続ける印刷業界の中で、MICは売上を大きく伸ばしているんです。
印刷業界と税理士業界は、どちらもテクノロジーの進化で経営環境が大きく変わった、よく似た業界です。
そんな業界の中で成長し続けているMICの事例が、今後の税理士事務所経営の参考になると思ったので、今日はそれをシェアしたいと思います。
印刷業界と税理士業界は似ている!?
印刷業界はデジタル化で大きく苦戦してきました。
雑誌やマンガは電子書籍に移り、企業の広告費が削られて折り込みチラシも減りました。
印刷業界の出荷額は1991年の8.9兆円をピークに、2018年には4.9兆円まで縮んでいると言われています。
市場が縮めば、残った仕事の取り合いになります。
印刷会社どうしの競争は激しくなり、価格の勝負になっていきました。
これは顧問料で比べられる税理士業界と同じです。
MICも例外ではありませんでした。
2000年代に入ってデジタルカメラが広まり、それまで写真フィルムのメーカーから受けていた大口の仕事がなくなっていったそうです。
テクノロジーの進化で、主力の仕事そのものが一気に消えたんです。
AIの進化で記帳や申告の手間がどんどん減っている税理士業界と、ここも似ています。
こうなると、ふつうはなんとか印刷の注文を取り戻そうと考えますよね。
ですが、MICがそこから抜け出すために始めたのは、お客さんの問題解決でした。
印刷会社が始めた問題解決とは?
印刷を頼まれるのを待つのではなく、お客さんの店を回って、販促のムダを探すところから入るようにしたんです。
そして問題を解決するために必要なら、デザインも印刷も配送も店頭の陳列まで自分たちでやります。
MICのマーケティング担当の方は、こんなことを言っています。
「お客さまにとって、印刷した販促物を調達することは『商品やサービスを売る』という目的を叶えるためのほんの一部の工程にすぎません」
お客さんが欲しいのは印刷物ではありません。
商品が売れることです。
これをきっかけに、MICは印刷会社と名乗るのをやめました。
いまは自分たちのことを「ビジネス改善カンパニー」と言っています。
社名から「印刷」を消したのも、印刷から仕事の範囲が大きく広がったからだそうです。
変わったのは「何屋なのか」の決め方。
つまりポジショニングです。
自分たちが作っているもので決めるのか、お客さんのどんな問題を解決するのかで決めるのか。
マーケティングの世界では、自分の商売を作っているもので決めてしまうことを「マーケティング・マイオピア(近視眼)」と言います。
もし、あなたが税務の範囲でしか顧問先をサポートしていないのであれば、それはマーケティング・マイオピアに陥っています。
顧客が本当に求めている価値や、市場の本質を広い視野で見て順応していかなければ、市場の波に引きずられて業績は落ちてしまいます。
「税理士です」と名乗ると何と比べられる?
「税理士です」と名乗ると社長の頭に浮かぶのは税金周りのサービスです。
そして比べられるのも税務です。
税務はどこの事務所も同じように見えるので、最後は顧問料で比べられてしまいます。
税理士事務所ごとにサービスの中身が違ったり、独自性を作っているところがあるのは僕も分かっているつもりです。
ただ、社長にはそれを見比べる方法がありません。
一方で社長には、申告のほかにもいろんな悩みや、叶えたい理想があります。
それでいつもやきもきしています。
「売上を増やしたい」
「お金を残したい」
「人が辞めない会社にしたい」
社長がいつも困っていたり解決したいと思っているのは、こういった悩みではないでしょうか?
あなたが顧問先を税務の範囲でしか見ていなければ、社長から頼まれるのも税務だけです。
あなたの事務所は何屋さん?
MICは印刷を売る会社から、お客さんの問題を解決する会社になりました。
斜陽と言われる印刷業界で主力の仕事を失った会社が、過去最高の業績を出すまでになったんです。
いまでは印刷の売上は全体の3割ほどで、残りの7割は印刷以外の仕事だそうです。
ウチのクライアントで伸びている税理士事務所も、税務の比率が減ってきています。
税務以外の付加価値の高い仕事を伸ばしているからです。
中には、税務とそれ以外が5対5になっている事務所もあります。
社長から見れば、もう税務だけの先生ではないんです。
こういう事務所が売れているのは、税務だけでなく社長の問題を解決しているからです。
顧問先の社長が本当に解決したい悩み問題は何でしょうか?
社長から見て、あなたの事務所は何屋さんですか?
デジタル化で一気にシュリンクした印刷業界。
いま税理士業界で起きているAIエージェントの波とよく似ています。
そんな業界で成長したMICはお手本となる教材です。
僕はMICのようにお客さんの問題解決にチャレンジすることが成長の鍵だと本気で思っています。
あなたも顧問先の問題解決のチャレンジを一緒にやりませんか?
-高名一成
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