From:高名一成
先日、ある税理士の先生から相談を受けました。
「売上アップの方法を顧問先に提案しているんです。でも、まったく響かなくて…」
僕は思わず頷きました。税理士の先生のコンサルをサポートしている中で、よく聞く悩みの一つだからです。
この先生は続けて話してくれました。
「『先生、それうちには合わないです…』『そんな余裕ないんですよ…』って言われ続けて、そのウチ敬遠されるようになってしまいました。もう自信がなくなってきちゃって…」
実は、これは多くの税理士が陥りやすい典型的なパターンなんです。
僕が経営支援をおこなう税理士の先生と仕事をする中で気づいた重要なポイントがあります。それは「解決策を教えることから入ってしまう」という傾向です。
経営支援をやる先生は顧問先想いの方が多いため、新しい知識や方法を学ぶと「これは顧問先のためになる!」と考え、すぐに提案したくなるんでしょう。
その気持ちはとてもよく分かります。
でも、実はここに落とし穴があるんです。
例えば、過去にこんなケースがありました。
製造業の顧問先に売上を増やすための「Instagram活用」を提案していた先生がいました。セミナーで学んだSNSマーケティングの知識をすぐに活かそうとしたんです。でも、顧問先からは全く興味を示してもらえません。
そこで、僕はその先生に「なぜInstagramを提案したんですか?」と質問したところ、「最近流行っているし、効果がありそうだと思って…」という答えが返ってきました。
ここで僕はいったん立ち止まって顧問先の話を深く聞いてくださいとお伝えしました。
すると、顧問先の悩みは「従業員の給与を上げてあげたいけど、資金的な余裕がない」ということだったんです。
売上を増やすとかInstagram活用以前に、「なぜ資金的な余裕がないのか」「従業員の給与を上げるために必要な利益はいくらか」という本質的な問題を整理する必要があったわけです。
そして、顧問先のこの悩みに向き合いながら、解決策を整理していったところ、
「そうなんです、まさにそこが問題だったんです!」 「その解決策なら、確かに効果がありそうですね」
と言って売上アップやInstagram活用に関心を示し出し始めました。
顧問先自身が問題や課題を認識し、その解決策として先生の提案を求めてくるようになったんです。
経営支援をすると、どうしても方法や解決策をアドバイスすることから入りがちですが、これはあまり効果的ではありません。
顧問先が求めているものは方法や解決策ではないことが多いからです。
顧問先が求めていることはほとんどの場合「この問題を解決したい…」「こういった理想を叶えたい…」という問題解決と理想です。
こう考えると、方法や解決策は求められていないので、そこから入ってしまうと言うことを聞いてくれないのは当然と言えば当然ですよね。
だから、話のベースはあくまでも顧問先が求めている問題解決や理想に合わせることです。
方法や解決策はこの欲求を叶えるための手段でしかありません。
問題が起きている原因を見つけてそれを解決するための課題を設定したり、理想を叶えるための最適なプロセスを作ったり、経営支援はこれらのことをメインにしましょう。
そうすれば、そのうち手段としての方法や解決策が必要になってきますから。その時にアドバイスしてあげてください。
アプローチをこう変えるだけで、提案力は向上しますし、結果として事務所の差別化にもつながっていくはずです。
-高名一成
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