from 福元友則
最近AIを活用している税理士の先生が増えてきています。
仕訳や申告業務の一部はクラウドやAIが進化してきていているので省力化が進んでいるようです。
以前にも税理士業界は似たような流れがありました。
手書きからパソコンに移行しソフトで会計処理できるようになったためです。
この一定期間は税理士業界はよく儲かったとよく聞きます。
以前より早く正確に業務処理できるようになったのですから儲かりますよね。
ただその結果進んでしまったのが同質化です。
同質化とは、製品やサービスまたは企業の取り組みなどが競合他社と類似した特徴を持つようになる現象のことです。
市場が成熟していくにつれ、他社の成功した差別化戦略を模倣しあうようになります。
すると本来の独自性や価値が失われていくことになってしまいます。
その結果、コモディティ化という現象に繋がり、お互い違いがないようにお客さんから見えるようになるためお客さんは価格でしか選べなくなり価格競争が激化していきます。
従来型の作業中心のスタイルでは差別化が難しくなってきています。
AIは業務をかんたんにしてくれる面があるのは確かですが、それが経営の問題解決に繋がっているのかというと疑問に思う話も多いものです。
ある30代の若手税理士の話です。
開業当初は紙資料中心で月次処理に追われてることに困っていました。
そこで作業時間を削減するためにクラウド会計を導入し単純作業が大幅に削減。
浮いた時間をお客さんの経営相談に回した結果、経営アドバイザー的な存在として社長にとってなくてはならない存在になれました。
その結果、顧問料はあがり紹介も増えたそうです。
ポイントは効率化を作業時間の削減ではなく社長との相談時間の確保にしたところです。
他の例も紹介します。
40代のとある先生も同じくAI活用しはじめました。
先ほどの先生との違いは目的です。
この先生は効率化し作業時間を短縮することで作り出した時間を社長との相談には使わず他のことのための時間としました。
それは新しい専門を作るための時間です。
税理士以外の専門性をつくって差別化するためにその時間を有効活用しようと思ったのです。
顧問先や地域の中小企業の社長のニーズをよく確認し、まだ解決されていないニーズを見つけました。
売上を増やしていくためのサポートを満足に受けれていないというニーズです。
そしてこのニーズを満たすために専門知識を身につけるために作り出した時間をあてたのです。
他の先生が業務に振り回され満足に新しい専門性を身につけていない中でこれはずいぶんと差別化につながってそうです。
AIを活用するのはとてもいいことなのですが、その目的をきちんと定めましょう。
もちろんその目的は経営の課題解決につなげるようにしましょう。
ほとんどの事務所は差別化やビジネスモデルの再構築にあります。
差別化やビジネスモデルの再構築にしっかり取り組んでいきましょう。