From:高名一成
3日前に日本生産性本部から日本企業の就業者1人当たりの労働生産性(2018年)が発表されました。
2018年の生産性は1人当たり約824万円だそうです。
(ちなみに、この発表の中で日本と世界の生産性が比較されていました。残念ながら日本は先進国の中では20年以上、最下位という不名誉な記録を達成しています。)
この数値は税理士業界の1人当たりの生産性とあまり変りませんよね。ちょっと高い程度です。
税理士業界ではこの生産性を高めることがいつも大きなテーマになっています、、、
生産性を高めるために減らすもの
そもそも、生産性とはどうやって算出されるのでしょうか?
日本生産性本部は生産性とは、
生産性 = 産出(output) ÷ 投入(input)
と定義しています。
産出は成果、投入は時間のことです。
この式で考えると、産出を増やすか、投入を減らすかすれば生産性は向上するということになります。
今の日本は投入(時間)を減らすことに対するメッセージが強いですよね。
効率化や働き方改革などはこっちの分野です。
ただ、怖いのは効率化や働き方改革をしたからといって、生産性が向上するかどうか分からない点です。
効率化すると産出(成果)が減り、結果的に生産性が減ってしまうことも十分考えられます。
例えば、今まで使っていた時間を減らすことで同じサービス提供ができるとは限りません。
お客さんと関わる時間を減らせば、お客さんからはサービスの低下に見えるはずなので、顧客離れを誘引する可能性もあります。
他にも効率化するためにシステムを導入すれば当然コストがかかるので利益が減ることも十分考えられます。
そもそも、減らすという行為には限界があるので、ある程度やったら頭打ちになってしまいます。
生産性を高めるために増やすもの
投入(時間)を減らすには限界があるので、産出(成果)を増やすことが生産性を高め続ける抜本的な方法です。
産出(成果)を増やす方法は2つです。
1つ目はお客さんの数を増やすことです。
客数が増えれば、売上が増えるので産出(成果)は増えます。
でも、残念ながらこれだと産出(成果)が増えても生産性と利益が減ってしまう可能性があります。
その理由は客数が増えると対応するための人材や時間が必要になるからです。
人や時間が増えれば投入(時間)が増えれるので逆に生産性と利益が減ってしまう可能性があります。
これをやるなら、中途半端に客数を増やしてはいけません。
一気に増やすか、計画的に増やしていかなければ売上が増えても生産性と利益が減るという状態になってしまいます。
2つ目の方法は単価を増やすことです。
単価を増やせば産出(成果)は増えます。
ですが、これにも生産性が減る可能性はあります。
その理由は客数の減少です。
単価が上がれば当然客数が減少します。その結果、生産性に影響を与えてしまうかもしれません。
でも、僕は過去にこのやり方で生産性減少に影響を与えるほどの客数減を見たことがありません(ちなみに客数を減らさずに単価を上げる方法もあります。)
つまり、このやり方が一番確実性があるし抜本的なやり方だということです。
なお、今後の日本は人口減少に伴い企業数が減少していくことが予想されています。
この時に客数を増やそうとすると、それはただのパイの取り合いです。
パイを取り合うと単価減少に繋がるし、横から横に移動しただけなので、日本の生産性向上には繋がりません。
あなたのビジネスの状態、ステージによって生産性向上をするためにどのやり方がいいかはそれぞれだと思います。
2020年はどんな戦略で生産性を向上させ経営していくのか、ぜひこの年末年始で考えてみてください。
ー高名一成