From:高名一成
もし、あなたが新しく人材採用をするとしたら税理士事務所で巡回監査をやったことがある経験者を採用しますか?それとも未経験者でも採用しますか?
経験者であれば、仕事をイチから教える必要がありません。即戦力として期待できますよね。
一方で未経験者の場合は全てのことをイチから教える必要があります。
税理士事務所は仕事量に合わせて人を採用していくケースの方が多いと思うので、即戦力になる経験者を採用したいとよく考えられています。
先日、ある税理士さんと採用について話をしました。
その税理士さんは新規案件が増えてきたことと、新たな事業領域を広げるために人を採用したいそうです。
採用した人にはまず巡回監査スタッフとして仕事をしてもらい、将来的にはコンサル業務も担当してもらいたいと考えていました。
で、話の論点はどういう人を採用すればいいのか?ということに。
どんな人を採用した方がいい?
当然、経験者を雇った方がいいのではという話になりましたが、ひとつ不安な点もありました。
それは将来コンサルをやりたがらない可能性があるということです。
多くの税理士事務所はコンサル事業をうまくやりたいと考えていますが、なかなか思う様にいきません。
その大きな理由のひとつが人の問題です。
よくあるのが既存の職員に新しくコンサル業務をやってもらいたいと考えているのに、嫌がられてしまうということです。
理由としては、そもそもそういうことをやりたくないということと、ただでさえ忙しいのにこれ以上は出来ないということです。
無理やりやらせることは出来るかもしれませんが、僕はそれでうまくいったケースを見たことがありません。離職につながってしまうことも少なくありません。
反対にうまくいくケースは主体的な人が関わったときです。
なので、税務顧問の経験者を採用した時にはこの壁にぶち当たる可能性があります。
そしてそれは現実的によくあります。
短期と長期の矛盾
でも、それでは本来の目的が達成できず本末転倒な話になるので、未経験者を採用して税務を覚えてもらいコンサルもやってもらった方が長期的に考えていいですよね。
教えるのは大変ですが理論的には確実な方法です。
経営では短期的なことより長期的なことの方が大切だとよく言われます。
これは事実で経営は長期的な戦略をきちんと考え、実行することが一番大切です。
ですが、現実的にはムズかしいんですよね。
いくら長期的なことが大切だと分かっていても、それをやることはカンタンではありません。
なぜなら、短期的なことの方が優先順位が高くなるからです。
理想と現実は違います。長期が大切だと思いながら短期的な行動ばかりしてしまうという矛盾が発生してしまいます。
長期的には未経験者がいいと思っても、短期的に見ると経験者の方がいいに決まっていますから。
なので、この矛盾を解決することは非常にムズかしいことです。
それよりも、この矛盾があること理解をしながらバランスをとっていくことが重要ではないでしょうか?
あなたの事務所ではどうでしょうか?
今後の経営方針と合わせて考えてみてください。
ー高名一成