From:福元友則
先日、陸王というテレビドラマを見ました。
このドラマの中で、今までの税理士像とこれからの税理士像が描かれているなと感じましたので紹介記事を書こうと思いました。
陸王は、「半沢直樹」や「下町ロケット」などを書いていきた人気作家池井戸潤さんの小説をドラマ化したものです。
池井戸さんの作品は、氏が三菱銀行で働いていたり、同行退職後はコンサルタント業のかたわら、ビジネス書の執筆や、税理士・会計士向けのソフトを監修していた経験から書かれているものが多いです。
中小企業や銀行がメインになっている作品が多いため、共感できることも多くなるべくドラマ化したら見るようにしています。
また僕と同じ岐阜出身ということで応援していたりもします。
陸王は、埼玉県行田市にある足袋製造会社「こはぜ屋」の4代目社長、宮沢社長が主人公のドラマです。
宮沢社長は、年々先細る足袋の需要から資金繰りに困っています。
そんなある日、メインバンクに追加融資の相談に訪れます。
そこで融資担当の坂本氏に、今回は追加融資に応じられたが今後の業績を考えるとこのままでは次の融資は難しい、新規事業に踏み出してはどうかと提案されます。
最初はそこまででもなかったが、会社の現状や今後のことを考えるにつれ、新規事業の重要性を痛感し、ほどなくあるきっかけで新規事業についてひらめきます。
それは、足袋製造会社としてこれまで培った技術が活かせる「裸足感覚を追求したランニングシューズ」の開発でした。
番頭は新規事業に常に反対。
商品開発も悪戦苦闘でなかなかできない。
開発資金がなく、スタッフにはサービス残業で対応してもらっているためだんだん士気も下がってきてしまう。
銀行の支店長と融資課長は、新規事業に実績を求め、実質融資を断ってきます。
そんな中、ピンチとチャンスが訪れます。
融資担当の坂本氏の人脈から、大学でプレゼンの機会をもらいます。
大学に採用されれば、相当数の受注を見込むことができ、また実績をあげることもできます。
しかしこれは最初にして最後のチャンスでもありました。
銀行側から融資の条件として、新規事業からの撤退とリストラを迫られていたためです。
受注できれば新規事業を行うことができる反面、失注すれば新規事業は断念、今までサービス残業してまで協力してくれたスタッフをリストラしなければいけなくなります。
一同が朗報を待つ中、大学は実績を重んじ、こはぜ屋に採用見送りを伝えます。
時を同じくして、融資担当で新規事業の協力者の坂本氏が、新規事業反対派の支店長に左遷されることが決まります。
坂本氏より、明日新任と一緒に引き継ぎの挨拶に伺いますと連絡が入りました。
そして当日。
新任は新規事業に反対派の融資課長でした。
引き継ぎの席で、坂本氏が主導した新規事業の件を詫び、責任をすべて坂本氏に押し付けようとします。
このやりとりを見て、こはぜ屋の宮沢社長が融資課長に対し激昂します。
俺の仲間を侮辱するなと。
坂本氏は、足袋にもランニングシューズにも無知でとんちんかんなことばかり言う。
それでも熱心に相談に乗ってくれ、寄り添ってくれた。
彼の熱意に支えられてここまで来たんだと。
このシーンを見て、まさに今までの税理士像とこれからの税理士像の対比だなと思いました。(と同時に感動して思わず涙を流してしまいました。)
ほとんどの会社や業種は成熟期から衰退期を迎えています。
今、目先の利益を確保することが今後の会社存続につながるわけでもありません。
次の成長カーブを描く事業を確立しないことには会社の未来は描けません。
ですが、銀行の融資課長は財務分析からとりあえずの利益確保とそれにともなう経費削減策としてリストラを提案します。
一方、融資担当の坂本氏は会社の将来を考え、新規事業に乗り出すことを提案し、自ら寄り添うことで事業化に協力してきました。
もちろん社長に頼りにされ、評価されたのは坂本氏のほうです。
今後、税理士事務所は顧問先へ新規事業の提案や事業化のサポートを求められる時代になってきます。
そこで大事になるのは、まずは気持ち、取り組む姿勢です。
いかに社長の気持ちに寄り添えるかです。
競合に実績がない間はこれだけで大きなアドバンテージです。
(逆に競合が実績をアピールしてくると、こちらがいくら気持ちを伝えても実績を高く評価され負けることが多くなると思います。)
まずは、財務面ではなく、社長の気持ちとか思いを聞いて見ることからはじめてみてはいかがでしょうか?
ー福元友則
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