From:福元友則
中小企業は客数で勝負するビジネスモデルをやると最終的に十中八九失敗することになります。必ず大企業が参入してきて資本量で勝負することになるからです。
逆に少ない客数で回るビジネスモデルにすると劇的に業績がよくなるというのをよく見てきました。
みんな大企業のやり方を見すぎ、参考にしすぎなのです。
自分とキャラクターが違う人が決めたビジネスのルールで戦って勝てるはずがありません。なぜならその人が自分に有利な、自分の強みを活かせるルールになっているからです。
今回は10億円の負債で瀕死の状態から劇的に再生させた旅館の事例を紹介します。
この旅館はかつて団体客をメインに営業していました。
旅館業界のトレンドでもあるのですふぁ、2000年以降、目にみえて団体客の利用が減りました。この旅館も例外ではありません。
みるみる客数が減っていったのです。
ビジネスのセオリーでもありますが、団体客をとるのは一気に客数を増やせるメリットがある反面、一瞬で客数が減ってしまうリスクがあります。
ですので、この旅館は客数を増やすべく値下げをしました。
宿泊料は15,000円から、14000円、13,000円と下げていって、最終的には2/3の価格である9,800円まで下げたそうです。
しかしそれで客足が戻るわけでもありません。
薄利多売モデルに舵をきって客数が伸びない場合、最悪の状態になります。
売っても赤字なのに、もっと売るためにはもっと値下げしなければいけない。売上を増やそうと思うと、赤字が拡大してしまうのです。
こんな状況から劇的に業績を回復させました。
一体、何をやったのでしょうか?
客室稼働率は10%→80%
社員の給料は300万円→400万円
離職率は33%→3%
になったそうです。
この旅館の経営者がやった経営改革は客単価を上げるということです。
1泊2食9,800円だったのを、3倍以上の35,000円~にする。
そのために付加価値づくりとして、客室の化粧室を用意し、コンシェルジュデスクも用意したそうです。
このへんは自分がお客さんとして利用した体験だったり、お客さんからヒアリングした旅館への不満だったりをうまく汲み取っていると思います。
また日帰り客向けに、以前は2,000円ほどのメニューを提供していたのを、高価格に変えました。
10,000円、25,000円、35,000円と段階的に単価をあげていったそうです。
もともとそんなに客室が多くない旅館だったのもあって、劇的に経営の状況が改善しました。
中小企業の場合、客数を追いかけるより客単価を追いかけるほうが劇的に経営がよくなケースがほとんどです。
単価を上げる時はもちろんみんな怖いのですが、何を高い商品、サービスを売りつけるわけではありません。
目の前にいるお客さんのニーズを汲み取り、それにあわせた商品開発を行っていけば自然とそうなります。
目の前のお客さんのニーズに気付きながら、自分を成長させてそれを解決しようとするのではなく、他のお客さんで穴埋めをしようとするとどんどんビジネスは難しくなります。
ぜひ顧問先にも、そして先生の事務所も今のお客さんの隠れたニーズをキャッチして、それを解消してあげる商品づくりをするようにしてください。
お客さんに今より喜んでもらって業績がよくならないわけがありません。
ー福元友則