経営戦略

その決算説明、顧問先の役に立っていますか?

From:福元友則

 

「財務データをみて会社を経営するのは、バックミラーを見て車を運転するようなものだ」

 

これは、経営学/品質管理の権威である絵エドワーズ・デミングの言葉です。

 

エドワーズ・デミングは有名な人なのでご存知の先生もいらっしゃるでしょう。

 

彼はもともと統計学者なのですが、日本にて製造業の品質を一定に保つための手法を教えていた人です。

 

日本の品質が世界一いいと言われるようになった背景には、デミングの活躍があります。

 

その教えは、トヨタや日本電機をはじめ、多くの企業に取り入れられましたし、今でも語り継がれています。

 

その手法につけられた名前が経営学のスタンダードにもなっているのです。

 

「PDCA」です。

 

もともとは機械の不良率をさげるために考え出された品質管理の手法なのですが、今では経営に必須の考え方になりました。

 

そんな氏が言った言葉の1つが冒頭のセリフ(格言)なのです。

 

この言葉、会計人にとっては少し耳の痛い言葉ですね。

 

僕も昔、税理士事務所に勤めていた頃、決算説明としてよく財務データを説明していましたので。

 

なぜ財務データをみて経営をすることが、バックミラーを見て車の運転をするようなものだと言われているのかというと、それは財務データが遅行指標だからなのです。

 

遅行指標は、目標を達成できたかどうかという結果を見る指標であって、これからどういう結果をつくっていこうということには活かせません。

 

そういう時にみるべきは、先行指標です。

 

先行指標は目標を達成できそうかどうかを教えてくれる指標であり、結果を予測することができる指標のことです。

 

業績がいい会社、業績が伸びている会社は先行指標を管理していて、業績が悪い会社、落ちている会社は遅行指標を管理していることが多いです。

 

それもそのはず、遅行指標をどれだけ管理してみても結果に影響がないからです。

 

例えば、営業において、何件契約できたやいくら(金額)契約できたかなど結果を表す指標は遅行指標です。

 

それに対して何件電話をしたのかや、何件アポをとったのか、何件面談をしたのかというのは先行指標になります。

 

電話の件数が増えれば契約件数も伸びるでしょうし、アポの件数が伸びれば契約件数も伸びるでしょう、面談数が伸びれば契約件数も増えていくと思います。

 

このように結果に影響を及ぼすことができて、かつ結果を予測できる先行指標をみつけだし、それを管理して経営をしなければいけません。

 

ですが、税理士事務所は遅行指標を作成する業務をメインにしている関係でどうしてもその説明に終始しがちです。

 

ですから、そこから一歩踏み込んで、「遅行指標ではなく先行指標を管理しなければいけない」という考え方に変わることで、経営支援をすることができます。

 

ぜひ顧問先への指導の参考にしてみてください!

 

ー福元友則

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