From:福元友則
僕が営業においてとても重要視していることは再現性です。
再現性というのは、確実性を高めるということでもあります。
売れればなんでもいいとか、お金さえ入ってこればなんでもいいとかそんな感じの考え方の社長もたくさんいるのですが、その考え方は危険です。
経営者は自分の待っているリソースのうち何かに投資をすることで、それ以上のリターンを引き出すという経営を行う人です。
この観点からいくと、いつもいつも何に投資をするのかを考える必要があるのですが、自分のリソースのうち一体どこに投資をするのが正解なのか?
これに悩む人は非常に多いです。
でもそれ以上に多いのは投資をしたら損をするんじゃないか?と思って全然できないという人ですね。
そこで今日は、「プロスペクト理論」というものを紹介したいと思います。
1万円をもらった時の喜びと、1万円を落とした時のショック、どちらが人に大きな影響を与えると思いますか?
ほとんどの人にとっては「1万円を落としたショック」の方が大きな出来事として捉えられるそうです。
同じ1万円なのに不思議な気もしますが、人間にとって何かを失ったり、損をしたりすることの方が何か手にいれる喜びに勝るという事です。
プロスペクト理論は、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン氏が提唱した不確実性下における意思決定モデルの一つです。
例として2つの質問を考えてみましょう!
Q1:あなたの目の前に、以下の2つの選択肢があります。
①1万円が無条件で手に入る
②コインを投げて表が出たら2万円手に入るが、裏が出たら1万円は手に入らない
どちらを選びますか?
どちらを選ぶ人が多いと思いますか?
このケースでは、無条件で1万円が手に入る①を選ぶ人の方が圧倒的に多いそうです。
Q2:あなたには2000万円の借金があるとします。そのときに以下の2つの選択肢があります。
①無条件で借金が1000万円免除され、借金は1000万円になる
②コインを投げて、表が出たら全額免除、裏が出たら借金の免除はなし
これだとどちらを選びますか?
またどちらを選ぶ人が多いと思いますか?
このケースでは、借金が全額免除になるかもしれない②を選ぶ人の方が圧倒的に多くなるとのこと。
つまり、人は得をする場面では、より確実性が高いと思われる行動をとり、損失を回避する場面では、ギャンブル性が高くても最大限損失を回避できる行動をとるということです。
経営にうまくいかない社長が1発逆転を狙うのは、本能なのだということですね。
そして得をする場面で、確実性の高い選択をするということは、営業の場面において、自分はより確実性の高い選択をするというこです。
つまり、営業の仕組みがある会社の社長は、どんどんそこに投資をするのが確実性の高い選択になり、営業の仕組みのない会社の社長は、営業に投資をしないことの方が確実性の高い選択肢になってしまいます。
その結果、業績の伸び悩みであったり、伸びていく会社とどんどん差がついていってしまうことになります。
ちなみにどんどん成長していく会社は、顧客獲得の場面で大抵より安い価格を提示するということをやります。
つまり相場はどんどん下がっていくので、さらに業績の悪化を招きかねないということです。
これはその人の考え方の問題とか、知識やスキル、経験の問題ではなく、人間の本能が引き起こす問題なのです。
ですから、業績をよくしたいと思う場合には、営業を確実性の高いものにする、つまり再現性が高い「営業の仕組み」を早く持てるかどうかにかかっているというわけです。
ぜひ今年は、この営業の仕組みをつくるということにチャレンジしてみてください。
ー福元友則