From 福元友則
「私たちが学ぶ理由は、私たちがスキルや知識を獲得するのは、自分が経験したことを理解するためであり、自分を取り巻く世界に説明をつけるためである。」
先日読んだ本に思わずマーカーしてしまった箇所です。
僕たちコンサルタントや士業の先生は専門家です。
飲食店なら食材を仕入れ、それを調理し、盛り付けることでお客さんに提供できる商品になります。
しかし専門家は一般的に仕入れがありません。
仕入れがないということは空気を売っているようなものです。
変わりに売っているものは自分自身、もっというと自分の経験とそれに伴う知見です。
よく専門家は新しい知識を仕入れたがります。
こういう人は専門知識がモノ、先生が持っている本に書いてある何かだと思っています。
要は自分の外にある何かが秘密の知識なのだという考えです。
だから本を買って読めば、講義をきけば、動画をみれば、この行動によってその秘密の専門知識が自分の脳にインストールされると思い込んでいます。
しかしこれは間違いです。
脳に知識を詰め込めば、それをそのまま使うことができ、それでもってお客さんにアドバイスができる様になったり、価値を提供できるようになるわけではありません。
脳には知識や経験が散在しています。
この状態はただ脳内に存在しているだけの点の状態です。
ここに知識や情報を仕入れることにより、A点とB点をつなげて線にすることができます。
するとA点の出来事があった時にB点という考えや選択肢が出てくるようになります。
学習することにより点と点を、線と線をつなげることができるのです。
新しい回路ができることもあれば、今までと違う回路ができることもあるでしょう。
この点と点を結ぶ作業だったり、線と線を結ぶ作業をしているときに人は違和感や迷い、混乱などが生じます。
これらは新しい回路ができる過程で生じることなのでとてもいい現象です。
専門知識とは、経験と経験を結ぶものです。
そして専門知識とは、物事の意味をより深く理解させてくれるものなのです。
ですので、専門家とはその分野における物事の相互関係を理解する能力を持っている人のことであり、その専門分野の知識を持っている人のことではありません。
そしてそういった専門分野を習得するとは、あるスキルや知識をその分野においてより深いネットワークを持つことになります。
専門分野をつくるとは、専門知識やスキルを有するとともに、その分野に必要な経験を積む必要もあるということです。
先生が新しい専門分野をつくる時に必要になってくるのは、専門知識でしょうか?
それとも経験でしょうか?
来年新しいことにチャレンジしようと考えている先生が例年になく多いと聞きます。
ぜひ年末年始にどの分野にチャレンジしようか考える際の参考にしてください。