From:福元友則
優秀な起業家に共通する能力の1つに「抽象と具体を使い分ける能力」があります。
税理士さんは特にここが苦手な傾向にあるように感じます。
普段の業務が具体の象徴である数字を扱っているためかもしれません。
「抽象と具体」は経営指導をしていく上でとても重要です。
仕事や経営というのは「抽象と具体」からできています。
そして仕事は「抽象から具体」へと流れていきます。
水が上流から下流に流れていくのと同じで、抽象的なことから具体的なことへと流れていくようにできています。
例えば、経営計画をつくるときに今年はどんな1年にしようか、そのためにどんなことに挑戦しようか、そんなテーマにしようか、それを象徴するような出来事として何ができるかなどを考えたとします。
こうしたことはすべて経営方針に関わることで具体的なことではありません。
とても抽象的なことです。
対して、今年は創業30年でで区切りの年だから勝負をかけて売上を1億円にするというのはとても具体的です。
そのために創業30周年イベントを開催して、既存のお客さんへの感謝を伝えると同時に新規の方を集める場をつくろうと計画するのはより具体的です。
では、予算はどうする?とかなっていくわけです。
普通、仕事はこのように企画段階から概要レベルの計画に落とし込まれ、そこから詳細レベルの計画になっていきます。
そこからさらに実行計画へと移っていくわけです。
この時に注意しなければいけないのは、上流は抽象的思考が重要で、下流は具体的思考が必要だということ。
仕事をスムーズに進めるためには、その時に求められている思考をスイッチする必要があるのです。
同じ経営でも、上流と下流はまったく違う仕事になるため、求められる価値観やスキルはまったく別物です。ほぼ真逆です。
特に注意してほしいのは、上流の仕事、経営に関することというのはとても抽象度の高いことが多く、ここを複数人で業務を分担して進めるというようなやり方は向いていないということです。
上流の仕事で重要なのは、創造性であったりするため、できる限り少ない人数で(1人がおすすめ)やるべきです。
つまり経営計画のうち、目的やテーマ設定などは社長が1人でやったほうがいいということです。
それを各部門に目標数値ということでおろして、部門ごとに何をやっていくのかを決めていく形でしか進められません。
経営は、他との違いがことさら重要です。
よそと同じであれば、存在する理由もなくなり、当然業績も悪くなっていってしまいます。
そんなところに色んな人に意見をとびかわせても、どんどん拡散していくだけでいつまでたってもまとまりません。
みんなの意見をまとめた落とし所をつけるとたいていどこでもよくやっていることやよくやっていることに落ち着いてしまいます。
ですから、最小人数で決行するべきなのです。
これを間違えて色んな人を参加させようとしてしまう会社や社長がたくさんあります。
ですが、それは社長が考えて行うべき仕事ですというべきです。
し、その相談にのるためにコンサルタントがいるのです。
ですから、コンサルタントは話を引き出し、それを整理する仕事をするべきです。
間違ってもあれもこれもと話を拡散させてはいけません。
どうしても具体的なところにいきがちな先生が多いなという印象を受けています。
ですが、コンサルタントの存在意義として、答えのない抽象的なところの相談にのってあげる、答えどうこうではなく考えることそのものをサポートしてあげるというのがとても大切な仕事になります。
ぜひ参考にしてください。
ー福元友則