from 福元友則
ヤフーとLINEが統合するというニュースが入ってきました。
あくまでも交渉段階だとされていますが、以前からLINEはどことくっつくのか興味を持っていたのですが、ヤフーということで非常に納得しました。(LINEの業績が悪いことと、もうシェアを取り尽くしてユーザー数の伸びが期待できないためです。)
ヤフーはグーグルと並んで検索エンジンの雄です。
ですが、国内の検索シェアで1位のグーグルが約7割なのに対して、ヤフーは25%ほどと半分ほどです。
これはパソコンでもスマホでもほぼ同じぐらいになっています。
ヤフーもグーグルも同じ検索ですが、収益構造は異なります。
グーグルの収益の約8,9割は広告収入です。
グーグルアドワーズやグーグルアドセンスと呼ばれる広告配信サービスからの収入です。
一方、ヤフーは売上の約30%が広告収入なのに対して、コマース事業が6,7割を占めています。
ここでいうコマース事業とは、ヤフオクやヤフーショッピングなどのeコマースや、ヤフーBBやヤフーカードなどになります。
ヤフーの収入源は広告収入ではなく、それ以外のもろもろのサービスということになります。
ところが、営業利益における内訳になると話が変わってきます。
営業利益に占める割合でいうと、広告収入が約7割、コマース事業は約3割となっています。
メディア事業とコマース事業の粗利率が全く違うからです。
こうした状況から、ヤフーは今後伸ばしていくためにコマース事業の最適化を考えたのではないでしょうか?
メディア事業については、検索でグーグルと差がつきすぎてしまっているため勝ち目がないと判断していると思われます。(最近はここにSNS検索や広告も機能してきているためさらに困難になっています。)
そこででてきたのが、まだ記憶に新しいZOZOの買収です。
ZOZOのブランド力もそうですが、確実に顧客リスト目当てでの買収でしょう。
こうしてコマース事業の強化をした上でヤフーが総力をあげているのが金融です。
特にQRコード決済、Paypayですね。
Paypayは後発のサービスながら知名度抜群です。
資金力で競合他社の勝るため、100億円キャンペーンなどで一気にユーザーを獲得しました。
困ったのはLINEです。
昨年赤字だったところに、今後に成長戦略として600億円投資すると発表していました。
しかもその大半はLINEPayにです。
ここが思ったより成長できそうにないと判断したのではないでしょうか。
(Paypayに押されているのに加えて、コストもかさんでいるのではないかと思います。)
これはある意味Paypay側も同じかもしれませんが、そこを統合することでスケールメリットを出そうという判断なのだと思います。
パソコンに強いヤフーとスマホに強いLINEが統合するとなると、パソコンからスマホまで幅広くサービスを展開できますし、ヤフーの持つコマース事業を強化することができます。
全体的としてはeコマースの雄アマゾンにどうやって対抗していくのかが常に課題としてある中での1つの答えが国産の巨大コマースなのでしょう。
今後交渉がどう進むかも、統合が実現した場合、国産コマースがどうなっていくかも大変興味深く見守っていきたいなと思います。
Ps.資本主義は最後の局面で必ず資本勝負になりますので、大手と競合する分野ではなくニッチな分野に事業展開していかなければいけないということを改めて確認させてくれるいい教訓でもあるかなと思ってます。