From:福元友則
ある営業の講座が終わって受講生と話しをしていた時のこと。
「今まで営業について勘違いしていました。サービスを売り込むことが営業だと思っていました。なので営業することをためらっていました。でも、そうではなくてお客さんの悩みを聞いてあげることなんだとわかってスッキリしました。普段の巡回監査が重要だということですね。」
みたいなことを言われました。
これはセールスを教えていていろんな人によく言われることでもあります。
税理士の先生がしなければいけない営業は、決して押し売りや売り込みではありません。
これは決してやってはいけません。
先生は今までコツコツと顧問先の信頼をためてきたことと思います。
これを信頼残高と呼びます。
セールスとはこの信頼残高を引き出す行為です。
しかも、これは契約が成立するかどうかとは関係ありません。
セールスをしたら信頼残高を引き出してしまうのです。
一度のセールスのために長年ためてきた信頼残高がなくなってしまいます。
既存客の信頼残高が0になるということは、税理士の場合、ちょっとしたミスで即顧問契約の解除になるということです。
これではリスクが高すぎます。
なのでお客さんにはセールスだと気づかれない方法でセールスをする必要があります。
セールスをして信頼残高がたまることすらあります。
その方法は、「相手の悩みを聞き出して、それを理解し、答えに導くこと」です。
セールスとは何なのかというと、商品を売るのではなく、相手の問題を解決する方法を売ることなのです。
もし自分がプロであるなら、相手の問題さえ聞き出されれば、解決方法を見つけ出すのはかんたんです。
例えば医者の場合。
今目の前にいる患者がどんな病気なのかを一目で見極めることとこの患者の病気に合った治療をすること、どちらが難しいでしょうか?
どの病気の時にどの治療をするか、例えば盲腸の患者にどの術式の手術をするかわからない医者はいません。
難しいのは、この患者は盲腸なのか?違う病気なのか?見極めることなのです。
医者の場合は、患者のほうから体調が悪いといって診察を受けにきてくれるのですが、税理士の場合そうはいきません。
決算書を見てるから先生は、会社の状態が良いか悪いかはすぐわかると思います。
ですが、社長はわかっていません。
なんか調子が悪い気がする程度の認識しかありません。
調子が悪いのには気づいている程度の人に、なぜ調子が悪いのかを自分で認識してもらうために色々と質問をして自分で答えることで気づいてもらう必要があるのです。
もしこれは放置しておいてはまずいと社長が気づけば、その問題を気づかせてくれた先生にその後のことを相談してくることになります。
これは、巡回監査という名目で毎月社長に会って、数字を見ている税理士だからかんたんに行える強みなのですが、以外とそのことに気づいている先生は一握りしかいらっしゃいません。
巡回監査の時に雑談ではなく、ただ社長の話しを聞くというのではなく、目的をもって会話できている人はほぼいません。
これを徹底することができると、顧問先との関係は強固になり、さらに顧問先の業績がよくなってきます。
ぜひこの機会に巡回監査時の会話を改めて考えてみてください。
ー福元友則