From:高名一成
マーケティングでは「ターゲットを絞る」というのがメチャクチャ大切です。
誰に売るのかを決めて、その人に向けたメッセージを作るんです。
絞るとメッセージが尖って、その人に届きやすくなります。
ターゲットを絞れ。
このキーワードを聞いたことがある人も多いと思います。
けど、絞るのは怖い…
お客さんを減らすような気がするからです。
できるだけたくさんの人に買ってもらいたいから、たくさんの人に届くメッセージにした方がいいんじゃないか?
ふつうはこう思います。
ですが、現実は違います。
たくさんの人に届くメッセージは抽象的になります。
よそも同じこと言ってるので、作ったメッセージは埋もれます。
結果、お客さんには届きにくくなります。
ここで、ターゲットを絞って大ヒットした商品の紹介をさせてください。
アサヒのワンダモーニングショットです。
「朝専用」とうたっている、あの缶コーヒーです。
落ち込んでいたワンダの巻き返し策は?
実はモーニングショットが出る前、ワンダは苦しい時期にありました。
ワンダは2000年には年間2,500万ケース近く売れていましたが、缶コーヒーの市場そのものが伸び悩み、2002年には2,000万ケースを切るところまで落ち込んでいたそうです。
缶コーヒーのブランドとしては5位で、アサヒ飲料も2期連続の赤字でした。
その巻き返しとして出したのが「朝専用」のモーニングショットです。
ただ、発売前にはアサヒの社内にも心配があったそうです。
缶コーヒーは昼ごはんの後にも、夕方のひと休みにも飲まれます。
朝に絞ったら、ほかの時間帯には飲まれなくなるんじゃないか。
そう思いますよね。
ところが結果は逆でした。
発売から1週間で100万ケース、1年で1,500万ケースを売る大ヒットになりました。
ワンダ全体も、翌年には落ち込む前の2,500万ケースを超えています。
5位だったワンダは、ジョージア、ボスに次ぐ3位まで上がりました。
朝に絞ったのになぜ売れた?
アサヒが調べたところ、缶コーヒーは午前中に飲まれる量が全体の4割以上を占めていたそうです。
「目を覚ましたい」
「始業前に気合いを入れたい」
朝の1本には、そんな理由があります。
そこに「朝専用」と言い切った缶コーヒーが出てきたんです。
商品名の「モーニングショット」も、朝専用をそのまま名前にしたものだそうです。
朝に缶コーヒーを選ぶ人からすると「これは自分のための1本だ」と感じますよね。
これがターゲットを絞る効果です。
「おいしいコーヒーです」「こだわりの豆です」は、どの缶コーヒーでも言えることです。
でも「朝専用」は、朝に飲む人にしか向けていない言葉です。
だからメッセージが尖って、その人にまっすぐ刺さります。
絞ったらお客さんは減る?
ターゲットを絞ることと、それ以外のお客さんを断ることは別の話です。
朝専用と書いてあっても、昼に飲んではいけないわけではありません。
売上が落ちていたワンダが、巻き返しのために選んだのはお客さんを広げることではありませんでした。
「朝」に絞ることでした。
それで1週間に100万ケース売れたんです。
これはどんなビジネスでも同じです。
あなたは誰のどんな問題を解決する専門家?
ワンダモーニングショットは、朝に缶コーヒーを飲む人の「目を覚ましたい」「気合いを入れたい」を解決する缶コーヒーです。
誰のどんな問題を解決するのか。
これがはっきりしているから、メッセージが尖るんです。
税理士事務所のホームページでも「どんな業種でも対応します」「何でもご相談ください」という言葉をよく見かけます。
いろんな人に届けようとすると、そう書きたくなりますよね。
でもそれだと、誰のどんな問題を解決する専門家なのかがイマイチよく分かりません。
他も同じこと言ってるので価格でしか判断されなくなってしまいます。
これは、ワンダでいえば「いつ飲んでもおいしい缶コーヒーです」と言っているのと同じです。
例えば
「売上が伸び悩んでいる社長の売上を増やす税理士です」
「人を採ってもすぐ辞めてしまう社長の、採用と定着の問題を解決する専門家です」
「後継ぎが決まっていない社長の、会社をどう残すかという問題を解決する専門家です」
と言い切ったらどうでしょうか。
その問題で困っている社長には「これはウチのための事務所だ」と届きます。
ワンダが「朝」に絞ったように、まずは1つでかまいません。
あなたは、誰のどんな問題を解決する専門家ですか?
-高名一成
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