From 福元友則
ターゲットを絞れとか顧客を定義しろというのは先生も1度はどこかで聞いたことがあると思います。
でもなぜターゲットを絞るべきなのかはいまいちよくわかっていない先生が多いですよね。
もしかしたら先生も勘違いしているかもしれません。
誰でも彼でもターゲットを絞ったほうがうまくいくわけではありません。
ターゲットを絞ると成長が止まってしまったり、逆に業績が悪くなってしまうことだってあるからです。
どういう時はターゲットを絞ったほうがいいかというと、、、
これはビジネスモデルによります。
例えば顧客数を増やすというビジネスモデルの場合。
顧客数を増やすことで事業を効率化して、効率化できた分を顧客に還元する(値下げしたり、サービスを手厚くしたり)ビジネスモデルの場合、ターゲットを絞ってもうまくいかない場合があります。
うまくいかない場合があるというか、うまくいかないことのほうが多いかもしれません。
このビジネスモデルはシェアを拡大することで競争力を高め、競合が追いつけないようにするモデルです。
1番大切なのは顧客獲得のスピードをいかに早くできるかです。
競合よりも早いスピードで顧客獲得し成長することで誰も追いつけなくする。
こういうビジネスモデルの場合、ターゲットを絞ってしまうと成長スピードが遅くなってしまうかもしれないからです。
もちろん広告やセールスの場面では都度都度、顧客を定義することは重要ですがそれはビジネス戦略としてターゲットを絞るというのとは異なります。
税理士事務所が顧問先を増やそうというときに、セールスの話であればターゲットは絞ったほうがいいです。
しかしビジネス戦略としてであれば、ターゲットを絞るよりより安くすることでよりたくさん顧客獲得することを考えるべきなのです。
反対に、付加価値アップするプレミアム市場を狙う場合はターゲットを絞る必要があります。
税理士事務所の場合でいけば、顧問料アップや顧問料の高い顧問先を獲得したいと考えるならばターゲットを絞らなければいけません。
プレミアム市場はマス市場に比べるとはるかに小さいので、闇雲にやって開拓できるものではないからです。
例えば、2020年に1番売れた車はトヨタのヤリスです。
15万台ほど売れています。
高級車で有名なベンツの場合、1番売れたモデルで1万台ほど。
(ちなみに2020年で2番目に売れた外車です。)
販売台数は15倍ほど違います。
価格はヤリスが150万円ほどに対して、ベンツAクラスは400万円ほど。
価格にすると3倍ほど違います。
ベンツとヤリスの違いはそもそものビジネスモデルの違いです。
ヤリスがシェアを獲得するための商品なのに対して、ベンツはプレミアム市場を攻略するための商品だからです。
ヤリスよりベンツのほうがターゲットを絞っていかないと売るのが大変なのはよくわかると思います。
ヤリスももちろん商品開発の段階でターゲットを想定しているとは思いますが、ベンツほどシビアにターゲットを絞る必要がないことはなんとなくわかっていただけると思います。
先に自分たちがヤリスを売る商売をするのか、ベンツを売る商売をするのかを考えておかなければいけません。
ぜひ時間をとって考えてみてください。
(ちなみにですが、ヤリスを売る場合はと1番の事務所しか生き残れないのに対して、ベンツを売る場合、同じような事務所がたくさん存在しても生き残ることができます。)