From:福元友則
僕がまだ税理士事務所で巡回監査スタッフだった頃。
とある顧問先の決算説明は気の重い仕事でした。
というのもこの顧問先は業績が年々悪化していたからです。銀行への返済も四苦八苦し、役員報酬は払えたり払えなかったりしながら、なんとか資金繰りしていたからです。
毎月の巡回監査の時には、社長を励ますようにしていました。なんとか今月のよかった点を見つけて、それを伝えるようにしていました。
もちろん資金繰りに四苦八苦している会社ですから、そんな簡単に良い点が見つからないので、それが毎月ともなると大変です。
でも、他社と比べてどうというのではなく、先月よりよかった点とか、悪かった時よりもよかった点であればなんとか見つかるものです。
ですが、決算説明の時にはそういうわけにもいきません。
確定した数字をもとに話をしなければいけないし、今期の業績をただ伝えて税金の納付書を渡すのではなく、今後のことを聞いたり、時には一緒にどうするかを考えなければいけないからです。
今後の見通しはどうですか?とありきたりな質問をするわけですが、返ってくる答えは毎年一緒。聞かなくてもわかっている答えです。
当然悪いよという話しなので、それに付け加えてだいたい営業努力をもっとするという話しです。
もちろん営業をもっと頑張って業績をよくしてほしい!
そういう気持ちもあります。
でもそれだけで、会社の将来を考えれるのか?
1年後はいいかもしれない。
3年後もまだ持つかもしれない。
でも5年後はどうか?
10年後はどうか?
具体的なことはわからなくても、なんとなくは事業をやっていけるのか?それともそうではないのか?は予想できるのではないかと思っています。
そして、この話しとセットでそれとなしにお子さんの話や後継者の話を聞きます。
事業承継についてどう考えているか遠回しに聞こうとしているのですが、社長もそれをわかってか「息子にこの事業を継がせられないな。」という答えが返ってきます。
「今はなんとか黒字にできているけど、売上も減少が止まらないし、コストを抑えてなんとかやりくりしてる状態だから、遅かれ早かれ限界がくると思うんですよ。」と。
これはこの会社のことだけではなくて、多くの中小企業に共通することです。
今ほとんどの中小企業の事業は、成熟期の終わりか衰退期に突入しています。
この時期の特徴は、今までなんとか横ばいにできていた売上の減少がとまらなくなってきます。
そして、業界大手の寡占が始まります。
事業承継の問題というと、どうしても株式の移動とそれに伴う資金の手当て、そして相続・贈与の話しになりがちです。
でもほとんどの顧問先にとって事業承継の問題とは、廃業を免れて息子ないしは後継者に引き継いでもらえる事業にどうやってするのかという問題なのでないか、これからももっとそういう問題が増えてきます。
きれいに終わらせてあげるのも一理あると思います。
でも本音では、誰かに引き継いで欲しいと思っている社長は大勢います。
その時、長く付き合ってきた税理士事務所としてどういう対応ができるのか?愛顧してくれた社長に最後の恩返しができるチャンスに、後継者に胸をはってバトンタッチできる事業にしてあげる、そのために一緒になって頑張れる。
そんな税理士事務所が求められる時代が来ているのかなと感じています。
ー福元友則
PS.
お客さんのところに行くと
このメルマガっていつ書いてるんですか?とよく聞かれます。
僕は担当の日の前日の夜に書くことが多いですのですが、
今日は夜中に帰宅したので深夜に書いています。
メルマガを書き続けるのも大変なのですが、いつも読んでますよとか楽しみにしてますよと励ましの言葉をいただけるのが嬉しくてなんとか続けれています!
いつもメルマガを読んでいただいてありがとうございます!
この記事へのコメントはありません。